ノブレスオブリージ

この本を読んでいる。将来の進路を技術者になりたいと考えている若者に読んでもらいたい内容だ。僕自身も、日本のさまざまな状況がわかって助かる本だ。

この本の中の記述に「権威を与えられた者が守るべきノブレスオブリージ(noblese oblige 高い身分に伴う徳義上の義務)」と書かれた部分を読んで、ハッと思い出したことがある。僕が博士と名乗って良い証明書をドイツの大学で受け取ったとき、大学の事務の方、指導して頂いた教授や秘書の方達が口を揃えて僕に伝えた言葉とノブレスオブリージの内容が酷似している。博士になったからと行って身分が高くなるわけではない。だけど、「これからは、社会を良くするためにあなたの力を使いなさい」と同じ言葉を伝えられた。日本とはかなり違っていて、ドイツでは博士になれたことはステータスとして社会で通用する。ドイツ人の友人達は、博士になった後すぐに彼らは名前の書かれている免許証やカード類を全て、博士を意味するDr.という文字を名前の前に付けたものに作り替える。帰国に際して、いろいろな手続きがあったのだが、役所での手続きで、博士になったあと、職員の対応が、親切にそして丁寧になったように感じた。というのも、ドイツでは役所の書類の名前の記載欄に博士かどうかを書く欄がある。他にも、ウェブ上で登録するところで、Herr, Frau など、日本語で言う「様」に相当する部分に、Dr.の選択肢が存在する。日本の書類には記入する欄はない。税金の一部も消費することで日本で博士になった人物が社会で役だってくれることを期待されていないことが暗に示されているのだろうか?皆横並びで同列に扱うのがよしと考えられているからだろうか。
なにかをこなせる能力がある人物に、力を発揮してもらって、前へ物事を進めていってもらえることは社会にとっては有益なことじゃないだろうか。同時に能力のある人がノブレスオブリージを理解しているなら、社会がもっとスムーズに回るのじゃないかと思う。